2006年07月28日
設立記念日。遠方より友来たり
昨日は、ミツエーリンクスの設立記念日だった。16歳か。僕にとっては大切な日だが、気づいたのは夕方以降だった。
従業員規模が200名にもうすぐ届く段階になると、権限の委譲をどのように実行していくかがテーマになる。暇になるのかなあ、などと考えていたが、返って忙しくなってしまう。「捨てることは同時に拾うことだ」と日頃自分に言い聞かせているが、本当にその通りで、譲り渡し余裕ができるとその穴を埋めようとするもので、どんどんアイデアが湧き出てくる。結果的にどんどん忙しくなってしまう。面白いものだと思う。そんなこともあって設立記念日に気づくのも遅れたのか。
設立当時に知り合った方がおり、その後ご無沙汰していたが今期から監査役をお願いしており、重要な会議には来社いただくようになった。その彼が昨日来社。年齢も近いこともあり話をしていても面白い。「最後は気合だね!」などといわれると妙に納得してしまう。
昨日を一言で言えば、「設立記念日。遠方より友来たり」の思いだった。
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2006年07月27日
ISO27001
先日、認証取得していたBS7799/ISMS(情報セキュリティ管理の英国規格/情報セキュリティ管理の適合性評価制度)をISO27001(報セキュリティマネジメントシステムの国際規格)に切り替えのための移行審査を終了した。結果は、マイナー0件、メジャー0件、オブザベーション5件(内1件がグッドポイント)、素晴らしい出来栄えだと思う。皆さんお疲れさまでした。
ミツエーが、BS7799という規格に着手したのは2000年、取得は2001年9月(国内初)。当時社内の猛反対を押し切って着手した経緯がある。スタッフからの声としては、「こんな誰も知らないような規格を取ってどうするんですか?」「返ってハッカーの標的になりますよ」などと脅された。
BS7799(英国規格)は、国内ではISMSとなり、そしてISO27001として国際規格化された。いまでは取引の前提条件にもなりつつある。当時まさかここまでメジャーになるとは僕自身考えてもいなかった。
BS7799の初回審査は、日本国内に審査員がいなかったため、英国から来ていただいた。審査が終わり、最後に言っておられた英国審査員の言葉は今でも心に残っている。
「情報セキュリティの分野は完璧というものがない。認証取得したからといって安心してはいけない。改善し続けることが大切であり、また、そこが一番難しい課題でもある」と。
本日の朝日新聞の一面に、企業サイトに穴(セキュリティ上の穴)が多く存在しているという記事があった。情報セキュリティの分野は「これで大丈夫と思ったときがリスクの始まり」といって過言ではないと思う。初心に戻って、日々改善していく「姿勢」でより高いセキュアな環境を作っていきたい。
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2006年07月26日
「違い」の創造
昨日、朝日新聞のオピニオン欄に、「資本主義と会社」と題して岩井克人氏の記事を拝読。共感を覚えるメッセージだった。一部抜粋すると、
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利益を生み出す「違い」は、人間の頭脳・・・経済の中心は明らかにお金から人間へと移っている・・・・これからの会社では、過去のどの時代よりも人間の独自性が重要になるだろう。「違い」を意識的に作りださなければならないからだ。・・・違いを連続して生み出せるようなチームをいかに作り、そのチームを組織としてどう支えていけるかが、会社の重要課題になる。
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企業として、「違い」を連続的に生み出すための組織作りに地道に取り組むことは、とても刺激的な課題だ。いままで言葉ではうまく表現できなかったが、岩井克人氏のメッセージの中にミツエーが追い求めている価値観を発見した。
そういう会社だといつの日か皆さんに言われるように努めたい。
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2006年07月19日
武士道
最近、「武士道」ということばをあちらこちらで耳にする。道徳教育を授ける方法を特定の宗教教育に求めなかった日本人は、それらの観念を古くは武士道によって吹き込んできたのだろうか?
企業活動においてコンプライアンスの重要性が叫ばれるなか、いま、その精神を「武士道」に求めようとしているのかもしれない。
と、いうことで興味がわき、新渡戸稲造が1899年英語で出版した書籍「武士道」の日本語訳(PHP版)を拝読させていただいた(当時、この書籍は海外に日本を理解していただくために書かれたものだろう)。比較的抵抗なく読めたのは、やはり、そうした精神が日本人として体に残っているからなのか?
非常に印象に残った一節がある。「勇」の章においてサムライの心情を語ったたとえとしてニーチェを引き合いにだし「汝の敵を誇りとすべし、しからば敵の成功はまた汝の成功なり」と。
最近、次のステップに行かなければと思えば思うほど、社内の不足部分が目につくようになっていた。競合といわれる企業に、この点は負けているなあ、などと思うと、ストレスがたまることさえある。実に情けないことだ。そうしたなかで、上記の一節は平常心を取り戻すことができる素晴らしい一節だった。
不足部分は頭を下げて教えを乞い、助けを求められたときは、手を差し伸べる気概がなければ、一企業としても業界としても発展はないだろう。
いい機会ということもあり、武士道についてもう少し深く学びたくなった。
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2006年07月16日
Web標準の日
週末、「Web標準の日」というイベントがあると聞き、六本木ヒルズにお邪魔した。よくもこんなに集まるものだなあと感心した。改めて「Web標準」というキーワードが旬のひとつであることを実感。
僕は弊社のスタッフの講演を聴きながら、インターネットの黎明期である1995-6年当時のことを思い出していた。
当時、早稲田の学生バイトが数人おり、その一人にHTMLのコーダーとしては当時から見事なソースを書く人材がいた。卒業とともに彼は、夢の実現に向けて米国へ旅立った。その後国内の宇宙関連企業に就職したことを風のたよりに聞いていた。2000年頃だったか彼から連絡があった。帰りたいという内容だったと思う(講演内容を聞いていると、実はこの当時から彼はWeb標準をやろうとしていたことがわかった)。僕は「ダメ。自分の夢を諦めるんじゃない」と、本心でもないことを言ってしまった。・・・学生時代から彼の夢は誰よりも知っているつもりだったので、帰って来いとは言えなかった。
それから数年後(2003年暮れ)、再会した。冷たい雨の降る土曜日だった思う、会社近くの喫茶店で話した。彼の意思を確認し・・・彼はミツエーに参画することになる。数ヶ月経過して南極旅行後、入社した。
入社まもなく、突然「Web標準をやりたい!」と彼が言い出した。「Web標準?・・・おもしろそうだね。やってみたら・・・(そっけなく)」と、自社サイトのWeb標準準拠を許可した。一ヶ月後、1000ページ以上あるサイトの50%近く出来上がっている段階のときであった。Netscape4.7では不具合が発生することを知り、「まずいな!」と思い、プロジェクトの見直しをするように説得のため彼のフロアーに足を運んだ。声をかける一歩手前までいったが言い出せなかった。彼が作業する後姿から感じる「情熱」と「気合」に負けてしまったのだ。「・・・・こいつはイノベータだな。まあ、いっか。やらせてみよう」と半ばあきらめたような決断だった。
もっとも技術者の自己満足で終わらせることはできないと思い、2004年春、自社サイトをWeb標準化するとともに、サービス化することを指示し、同時にW3Cに入会し研究を推し進めるよう指示、さらに海外のこの分野の専門家と交流を深めるようお願いした。積極的に海外のセミナー等に派遣した。Web Standards Project(WaSP)のメンバーになったと聞いたときは、努力の積み重ねだなと感心した。また、関連書籍の洋書の翻訳に積極的に関わったり、草の根的な活動をしたり・・・・と、Web標準にかける彼の情熱と気合は、ただことではなく、自社のスタッフでありながら感服してしまう。
・・・・・こんなことを振返りながら、スタッフの講演を聴いていた。
このイベントは、鷹野氏(スイッチ社)の主催と伺っているが、スタッフに講演の機会をいただき感謝している。また、各分野の一人者が次々に講演されたが、どれも大変勉強になった。中でもインフォアクシアの植木氏の講演(アクセシビリティ関連)は非常に参考になったし、共感した。
パネルデスカッションでは、境氏(教育デザイナー) は次世代、業界を引っ張ることになる学生を育てておられるようだが、「教育現場は混乱している」という話を伺い非常に心配になった。機会があれば一度詳しいお話をお伺いしたいと思った。何か支援策や解決のヒントとなるようなものがあるかもしれない、と。
このイベントは僕にとっては素晴らしい体験だった。
最後に。
Web標準という流れは今後も変わることはなく業界に社会に浸透していくであろう、と思う。また、そうすることが社会的責任だと、少なくても僕は思っている。技術の学習側面、構築プロセスの側面、さらに支援ツール等・・・課題はいくつか存在することも確かであろう。しかし、インターネットが十数年でここまで社会に浸透したことを考えれば、今の課題は大きな障害ではないだろう。人の「情熱」と「気合」がインターネットのあらゆる技術を進化させ、ビジネスを変えてきたように、このイベント参加者皆様の若いエネルギーの「情熱」と「気合」がWeb標準分野においても達成されるだろうし、期待したい。
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2006年07月14日
コラム
ミツエーのコラム欄のエントリーが200回を超え201回目に入った。約3.5年間よく続いたものだ。スタッフの皆さんに感謝したい。
当初、「高橋さん、この企画、毎週エントリーということですが・・・書くことがなくなりますよ!」という幹部の挑発に、僕が「君とは違うでしょ!」と言ってしまった手前、何とか続けようと思い、3ヵ月間、孤独にひとりで書いていた思い出がある。次第に「僕も書きましょうか?」というスタッフが現れ、徐々にその数は増えていった。現在では、みんな競うように書いていて僕の出番などなく、せいぜい年間2-3回。
3.5年を一言で言えば、「考えがまとまっているから書けるのではなく、書くから考えがまとまる」ということだろう。ミツエーはそれぞれの分野で専門家が多い。そのノウハウを公開しようではないか!まだ挑戦していない人は、是非コラムに挑戦していただきたいものだ。
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2006年07月13日
標準化と独自性
昨日、夏休みを終了して戻ってきたスタッフと雑談した。どうやらロンドンに10日程滞在したという。彼の情報によると、10年前からロンドン市内では標準化が進み、たとえば、街頭の電話ボックスが日本と同じようにガラス張りになっていったという。ところが最近、電話ボックスの中身、機材は別にして外観は以前のような赤いボックスに切り替わっているという。その背景には、「そもそもロンドンとは何か?ロンドンらしさとは何か?」について議論された結果だという。
とても興味深い話だった。
俗にグローバルスタンダードというと国際的標準化と思われやすいが、ビジネスの世界では「ルールは一緒、あとは個性の競い合い」と訳される場合もあるようだ。僕もそう思っている。
企業活動において標準化は、あらゆる意味で共通化するため、より広い市場に対してアプローチをかけることが可能になるため機会の増大という意味では効果がある。またコスト削減という意味でも効力を発揮する。しかしそれだけでは、企業の価値の増大には結びつかない、少なくても不十分。価値の増大にはどうしても「独自性」というキーワードが必要になる。
標準化と独自性、水と油のような関係性に思えるが、双方なくてはならないものであり、うまくバランスをとり、同時に推し進めようとする考え方が大切なんだろう。
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2006年07月10日
増床
スクエアタワー6Fの増床工事も終わり、本日より業務が可能に。15Fより一部の部門が移動したり関連企業も入ってくる。よりよい環境の中で、よりよいサービスを実現したい。
環境を整えたり、技術を向上しても、最後は皆さん一人ひとりの「気合」にかかっている。期待したい。
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2006年07月06日
人と組織の活性化
2日前、トヨタの渡辺社長の講演を拝聴した。その前には大学教授の講演などもあったが、それと比較すると企業経営者の言葉は簡単明瞭でかつ具体的で僕にとっては理解しやすかった。「伝える」メッセージよりも「伝わる」メッセージに注意を払わないと組織は動かないわけであり、大切な心がけだなあと思った。
最後に経営にとって最も重要なことは「人と組織の活性化」だと仰っておられた。タイプとして、新サービスの開発や業績以上に人と組織のことを気にかけているので・・・そうか、これでよかったんだ、と少しホッとした気分になった。
一般的にみれば些細な企業ではあるが、それでもいまから権限委譲していかないと後で困るなあ、と思い上層部の役割を思い切って変えた。「思い切ってやれよ!」と思う反面「暴走するんじゃないぞ!」と思ったり・・・期待はしているが心配は尽きない。渡辺社長のお言葉はそのまま拝借してしまうが「人と組織の活性化」こそ君たちの使命であり、かつそれはゴールではなく企業発展の前提条件ととらえて、スタッフや顧客企業様のために汗を流していただきたい。
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2006年07月05日
講演
今月はミツエースタッフによる外部での講演が多い。それぞれ専門分野なので大丈夫だと思うが・・・成功をお祈りします。
Web標準の日(7月15日)
主催 CSS Nite & Web標準Blog
基調講演 「Web Standards: The Right Tool for the Right Job」 (木達)
NTTコミュニケーションズ Webビジネスセミナー(7月21日)
主催 NTTコミュニケーションズ株式会社 ITMS事業部
講演内容 「機会の最大化」~マトリックス型のWeb構築で、潜在顧客のサイトへの 集客を目指す(田口)
「成功するWEB評価・分析モデルのヒント」セミナー(7月11日)
主催 ネットレイティングス
講演内容 「ユーザビリティ評価によるWEBサイト改善のヒント」(小野)
また弊社主催セミナーも予定している
Web2.0時代のCMS活用セミナー(7月7日)
主催 ミツエーリンクス
今回は特別セミナーとして株式会社ユビキャスト CTO 佐々木氏をお招きしている。
良い事例もあるので、充実したセミナーになると思う。
p.s.
なんでも手をつけているなあ、と思われるかもしれないが、そうではない。それぞれの分野はひとつひとつ時間をかけ、研究を積み重ねてきただけのこと。
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2006年07月05日
改革と改善
改革と改善。「組織の進化」というテーマにおいて、どちらの考え方がミツエーにとってベターか?
こんなことを最近考えていた。巷では、改革改革と叫ぶが企業活動にとって「改善」の方が優れた考え方ではないか?と思い始めていた。
昨日、ベストセラー「国家の品格」の著者藤原正彦氏の講演を拝聴する機会に恵まれた。話のなかでちょうどいいタイミングで、改革と改善について触れていた。
曰く、「改革を改善と一緒に考えているのは米国ぐらいだ。改革と唱えればカッコよく思われ、改革さえすれば皆よくなると思っているふしがあるが、改革しても良くなるという保証はない。すべてをぶち壊す場合さえある。改革は改善ではないのだから」と。
同感。企業活動においては改革はスクラップ&ビルド的で非常に博打性が高いなあって思う。一方改善は地道な活動で大きな刺激はないが社内浸透が早く効果が出やすい。さらに同じ分野において3回改善を繰り返すと、改革したと同じぐらいの大きな変化と進展が期待できる。これが僕の考え方。
改革を掲げる場合、最も難しいのは組織への浸透。約3年かけないと文化が染み込まない。その間、非常に非効率な組織運営を強いられるというマイナス側面がある。
いずれにしても、今ある企業文化の中で、何を守り、何を捨てるかを十分考えた上で、改革と改善を使い分けなければならない、と思った一日。