2006年09月08日
もうひとつのホロン
いまから20年以上前の話になるか? ホロンという言葉が流行した。この言葉は企業経営に応用され、ホロン革命とかホロン経営・・・等多くの書籍が書店にならんだ。ホロンとは、ギリシャ語で“全体”を表すホロスと“個”を表すオンの合成語。「個と全体との有機的結合」を示すことばとして使われた。
当時、社会生活において価値観は多様性の時代に突入していた。多品種小ロットに対応した企業経営を模索していた時代でもあった。そのひとつの手法としてホロンという概念を企業活動に取り込もうとした時代だと認識している。企業活動における最大のステークホルダーである従業員との関係性において、お互いの価値観をお互いが理解し、有機的な関係性を構築しようという試みであった。たとえば若い従業員のアイデアや意見を取り入れた商品開発の重要性などが叫ばれた。好例として一従業員のアイデアを企業トップが採用したとされたアサヒビールのスーパードライ誕生逸話は当時誰もが知る有名な話になった。
いま、企業はガバナンス、コンプライアンス、内部統制・・・等、なかなか難しい要求を突きつけられている。一年前、一通り勉強しなければならないと思ってメモッタ経験がある。どれもこれも面倒で・・・・・こんなガンジガラメで面倒なことをいちいちやっているようでは経営も大変だなあ、と思った。それでも一通り形を作っておこうということでコンサルにもお願いしながら内部専門チームが6ヵ月以上も定義つくりを行っている。もうすぐ運用が開始されるという。
最近「ふっ」と思ったことがある。それは、
80年代は、最大のステークホルダーである従業員との有機的関係性構築をめざした活動をホロンというキーワードで行った。
いまは、もうひとつのステークホルダーである株主との有機的関係性構築をめざした活動を内部統制というキーワードで行っている。
「もうひとつのホロン」ね、と思うと少し気が楽になる。