2006年06月29日
1:29:300
関心のある事件をメディア等で拝見し、大きな事件だったなあ、と思っているとそれは序の口で、後から後から大物が芋づる式に出てきたりする。裏情報に疎い僕などは、そのたびごとに「なるほどね。そういうことだったんだ」などと一人感心してしまうことがある。最近も新聞を見ながらそんなことを感じながら、ふっと「1:29:300の法則」を思い出してしまった。
一匹のゴキブリを発見した段階で、近くに29匹が潜んでいて、放置しておくと300匹に膨れ上がるという例が非常に分かりやすいと思うんだが・・・
元々、1:29:300の法則とは、ハインリッヒの法則とも呼ばれ、米国のハインリッヒ氏が労働災害の発生確率を分析したもの。それによると1件の重大災害の裏には、29件のかすり傷程度の軽災害があり、その裏にはケガはないがひやっとした300件の体験があるという。
同じように、ビジネスにおける失敗発生率としても活用されており、例えば1件の大失敗の裏には29件の顧客から寄せられたクレーム、苦情で明らかになった失敗がある。さらにその裏には、300件の社員が「しまった」と思っているが外部の苦情がないため見逃しているケース、つまり認識された潜在的失敗が必ず存在すると言われる。
ミツエーが苦情対応マネジメントシステムである「ISO10002」を世界初で自己宣言してから8月で2年経過するが、取り組み自体は、さらにさかのぼって2001年にはじめている。はじめようと思ったきっかけは、実は、この「1:29:300の法則(ハインリッヒの法則)」に強く心を動かされたからに他ならない。
苦情や失敗を叱るためにこのシステムを導入したわけではない。むしろ、ミツエーの精神においては苦情や失敗が報告されたときは「よくやった!」と褒めてやらなければならない。なぜなら、たった一件の苦情や失敗をうまく活用し根本要因をとらえることができれば、同類の29件も解決することが可能であり、300件の潜在的苦情や失敗をも解決することが可能だから。