2005年08月17日
CSRとブランド
学生主体のある国際ボランティア団体(NPO)の事務局の方が来社。環境や社会貢献を中心にCSRに関する考え方の意見交換。その中で興味を持ったことは、CSR活動を行おうとしている多くの企業が考えていることは「活動をどのように見せて、如何にブランドに結びつけるか?」ということらしい。難しいことに挑戦しているなあ、と思った。
企業に対して社会やステークホルダー(利害関係者)が要求する最も大きな項目は「営利性」と「持続性」。特にステークホルダーは営利性を求め、社会は持続性を求める傾向にある。「持続性」を維持するために、企業は2つの側面に対してバランスをとるだろう。ひとつはプラス側面、もうひとつはマイナス側面。CSRをブランドと結びつけようという試みは、プラス側面狙いということができる。たとえば、持続的な競争優位性など。
しかしながら、品質、環境、サステナビリティ、CSRという歴史的な流れを考えると、CSRはマイナス側面の削減という意味あいが強い。簡単に言ってしまえば企業や組織を維持するためのリスク(マイナス側面)の軽減と考えた方がいい。
樹木にたとえれば、地上に存在する幹や枝や葉や花の部分ではなく、地下に存在する根の役割のようなものだと考えると分かりやすい。
CSRの真価は、外部に向けての宣伝によって達成されるものではなく、一見外部にはみえなくても、組織に「企業の社会的責任」という根を張りつづけようとするスタンスと具体的な行動の中にあるように思う。そしてそれはいざという時に力を発揮する。
CSRという企業にとってはマイナス側面の軽減活動をブランドに直結させようと思うのであれば、連続的な「透明性と事実」の存在が必要であるし、何よりも時間との闘いを覚悟しなければならないだろう。短期的に行われる新商品のプロモーション活動と同じように考えると厳しい現実が待っているように思う。