2005年07月16日
ガバナンス
経済産業省は「コーポレートガバナンス及びリスク管理・ 内部統制に関する開示・評価の枠組について -構築及び開示のための指針-(案) 」なるものを発表。面倒だなと思いつつも知らないわけにもいかないかなあ、と思い経済産業省のWebサイトより指針案をダウンロード。
考え方、内外のモデルの紹介、国内の不祥事の分析、好事例、キーワードとなる用語の定義もされおり勉強になった。
興味があった、キーワードとなる3つの用語の定義に関しては
1.コーポレートガバナンス
(「企業経営を規律するための仕組」とする。企業経営を担うのは企業経営者であるので、基本的には、企業経営者{代表取締役社長といった経営トップのみならず経営を執行する経営陣を指す}をどのように規律するか、という問題となる)
2.リスク管理
(「企業経営者が企業経営を行い利益を追求していく上で、企業を取り巻く様々な事象が抱えている不確実性(企業経営にマイナスの影響を与える不確実性だけでなく、プラスの影響を与えるそれも含む)というリスクに個々に対応するのではなく、経営理念、事業目的等に照らして経営に重大な影響を及ぼすリスクを企業経営者が認識・評価し対応していくマネジメントの一つ」とする。
このようなマネジメントは、リターンを得るためにはリスクは不可避であるという観点から企業経営そのものであるという面があり、すなわち、経営を取り巻く様々な不確実性(リスク)を如何にコントロールし、利益を最大化していくかという、企業経営をリスクの視点から見たものとも言える。)
3.内部統制
(「企業経営者の経営戦略や事業目的等を組織として機能させ達成していくための仕組」とする。また、企業がその業務を適正かつ効率的に遂行するために、社内に構築され運用されるプロセスともいえる。)
ん~、なかなか面倒だ。しかしながら、たとえばコーポレートガバナンスの定義ひとつ取ってみてもそうだが、米国だと一部のステークホルダー(投資家)の視点だけが強調されるが、本案は社会全体のバランスが考慮されているように感じて好感をもった。
日本のCSR(企業の社会的責任)の原型で知られるECS2000の開発者 高巖(麗澤大学国際経済学部教授)氏やSRI関連で有名な秋山をね(インテグレックス代表取締役)氏が委員として参加していることも影響しているのか?
法は企業の構成要素やステークホルダーに対して制度を通して権利や義務を規整している。どんどん増えて何がなんだか分からなくなる。しかしよく考えるとなんとなく見えてくるものもある。企業価値は、おかれている環境や立場によって人それぞれ解釈が違うわけだが、視界を広げて社会や経済の視点に立つと、企業の価値というものは、「持続性と営利性」の2点に絞られる。この2点が維持できなければ企業を取り巻くステークホルダーにマイナスインパクトを与えてしまい、しいては社会不安に拡大する可能性がある。
この「持続性と営利性」が出発点と考えると、いろいろな規制が増えるのもうなずける。
ちなみに、メインとなる「構築及び開示のための指針」は次の7項目であった。
(1)コーポレートガバナンスの確立
(2)健全な内部環境の整備・運用
(3)トータルにリスクを認識・評価
(4)リスクへの適切な対応
(5)円滑な情報伝達の整備・運用
(6)業務執行ラインにおける統制と監視の適切な整備・運用
(7)業務執行ラインから独立した監視(内部監査)の確立
各項目とも好事例があり、導入しやすいように解説しようとしている姿勢がすばらしい。ただこれをまともにトライするとなると・・・・・・・ニの足を踏んでしまいそう。(^-^;