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2005年07月06日

監査の監査

朝日新聞によると、企業決算の不正をチェックする監査法人が、自らを監査する「監査の監査」が義務づけられるようになるという。

なかなか面倒な社会になった。・・というよりも本来の果たすべき機能がうまく機能していないためだろう。また、時代背景の影響もあるのか? 経済を円滑に回すためには、各企業の発展が必要。発展するためには投資が必要。投資をするためには資本の注入が必要。資本の注入は株価が影響する。株価は業績に影響する。したがって業績を上げなければならない。・・・・・しかし、業績は景気に左右してしまいいつも業績がいいとは限らない。業績を上げるためにはまず株価を上げなければお金が集まらない。集まらなければ投資ができない。投資ができなければ企業の発展が遅れる。そうなれば経済全体が活性化されない。正のスパイラルも負のスパイラルも企業決算を起点にして動きはじめる。この辺に企業経営側のジレンマがあるのか? しかし、不正が継続すればいつかばれてしまいエンロンやワールドコムのように社会に大きなインパクトを与えてしまう。
企業の不正が、社会に悪影響を及ぼしては困る。したがってすべての「起点」になる決算の不正はゆるされない。活動を監視するのはなんといっても監査システムに限る。しかし現状の監査システムではうまくいかない。では。「監査の監査」・・・と。

これらの動きはひとつ間違えると僕がやってしまったISO9001「品質マネジメントシステム」の初期段階の失敗に似ている。品質を上げるためにはプロセスを守っていただき、ばらつきを減らさなければならない。しかし、事故は起こる。すると、それを是正するためにプロセスとプロセスの間に、さらにプロセスを追加し監査やチェック等を増やす。・・・品質を上げるためにプロセスがどんどん増えていく。しかし、この方法は大きな事故を起こし、かつ非効率であり、品質を上げることにはならない。なぜならば、根本的な問題としてプロセスが増えてしまうと本来伝わるべき真の「情報の歩留まりが劣化する」という問題が発生するからだ。情報の劣化は品質に絶対的な影響力をもつ。さらに品質は「時間軸」との関連性が高いにも関わらず、時間を浪費し、さまざまな経費増を引き起こす。極めてばかげている。こんな失敗を僕は繰り返した。

トンネルから抜け出す突破口になったものが、シックスシグマ思想であり、CSR活動の前身となるECS2000の考え方だった。シックスシグマでは、「本来あるべき姿」と「現状」の「ギャップ」を分析し、CTQ(Critical To Quality=経営品質を評価する上で決定的な意味を持つ数少ない要因)を突き止め、そこから改善していくという考え方。そしてそのためのツール。複雑なプロセスは「ばらつき」を誘発し、逆に品質が落ちてしまうということ。ECS2000(CSR)においては、コンプライアンスだの企業の社会的責任だといっても何をやればいいという問題ではなく、行き着くところ、最後は「ひとの良心」だということ。企業も社会の一員として良心を持ち、またそれぞれの企業が捉える良心の定義を構成員と共有し、維持すること。つまり「良心のマネジメントシステム」だったということ。
企業がどのような努力をしようが、このことを根底にもたないかぎり、解決に向けてのスタートラインにつけないのでないかと思う。

金融庁の企業会計審議会が今月中にも「監査に関する品質管理基準」を作るらしい。おそらくISOの管理フレームワークと似たようなものを使うのではないかと推測する。プロセスマネジメントで陥りやすい、プロセスのためのプロセスにならないように気をつけたいものだ。また、言葉の定義についてはすべてのひとが同じ意味に解するよう分かりやすい解説が必要かと。たとえば、「監査」であれば、監査の意味、目的、目標、スコープ(範囲)、前提条件、制約条件・・等。

これらは大企業や公開企業への対策で、中小はあまり影響がでないと思うが、我々もできるところからコツコツとやって行かなければ成らないと思う。

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