2004年12月13日
HS方式
トヨタのカンバン方式は、簡単に言えば「モノに情報を添える」ということ。現在は電子看板があるらしいが、原型は透き通ったビニール袋に部品に関する情報が入っているだけの非常にシンプルなもの。シンプルだが、現場を知り尽くした驚異のノウハウだと驚きを隠せない。本質とは実にシンプルなものだと改めて感心する。
我々のような知価創造産業は情報がすべてだ。プロセスと専門性が時代とともに複雑化し一人では成果物をアウトプットできない時代まで来ている。さらにプロジェクトに関わる人材も多岐に渡る。
このような条件下でクリエイティブ品質をアップするためにトヨタのカンバン方式を取り込もうとした場合、どのようにしたら良いだろうか?
いろいろな方法が考えられる。しかし、最後に行き着くところは「情報に心を添える」ことではないだろうか? とふっと思った。クリエイティブの世界というのは、それぞれが「無」から「有」を生む作業ともいえるわけで、心の葛藤は計り知れない。その心を支えるものが、ある種「熱(思い、期待、信頼)」というわけだ。前工程(営業、プロデューサー、ディレクター)諸君が後工程(制作、システム)に対して心(思い、期待、信頼)を添えることが最後に残ったもっとも大切な情報と言えるだろう。
たとえば、HS方式(Handshake=握手)は、その心を形にすることに他ならない。シンプルだがこういうことを忘れてはならない。