ミツエーリンクス

創業者の独り言

Home > 会社案内 > 創業者の独り言 > 弁証法と「守・破・離」

2006年08月15日

弁証法と「守・破・離」

 『使える弁証法』という書籍の著者である田坂広志氏のインタビュー内容がIT関連の雑誌に掲載されていた。興味深く拝読した。それによると弁証法が分かるとIT社会の未来が見えてくるという。重要なことは「螺旋的発展」の概念を捉えることとある。
たとえば螺旋階段を頭でイメージすると、横からみると繋がりながら上に進んでいるように見えるが、螺旋階段を真上からみると、同じところを循環しているだけのように見える。IT革命だとかドッグイヤーやマウスイヤーとか言われ、時代が違ったところにいってしまうように思ってしまうが・・・・いつの時代も、つまりは、(過去と現在を引きずりながら未来にむけて)「連鎖」し同時に「循環」する、「循環」を繰り返しながら「連鎖」し、アップグレードしてくという「事実」を分かり安く説明されていて非常に面白かった。

と、いうことがキッカケで弁証法に興味をもった。
といってもお手軽に勉強したい僕としては、コンビニに足を運び「世界の哲学者50人」(河出書房新社)なる書籍を購入。読み進めると、ヘーゲルにたどり着く。それによると、当時ヘーゲル(1770~1831)は、知識、技術、経験を通じて人間が成長していくことの価値を説いており、その総合的な体験が個人の「自己形成」「自己実現」をもたらすとした。そして、「自己実現」によって完成した精神=「絶対精神」に達するための欠かせないプロセスとして提唱したのが、「弁証法」。・・・・であることを突き止めた。

ヘーゲルの「弁証法」は3つの段階で成り立つ。(以下引用)

1.発見した概念、アイデア、方法などを肯定する段階--「テーゼ」(正)
2.いったん肯定した概念、アイデア、方法を再検討し、その矛盾、不備に気づく、あるいは、おのずと壁に突き当たる段階--「アンチテーゼ」(反)
3.その矛盾、不備、挫折をアウフヘーベン(止揚)して、より高次なレベルに進んでいく段階--「ジンテーゼ」(合)

--「世界の哲学者50人」(河出書房新社)

読後感。
一言でいうと「弁証法」を身近に感じるようになった。とりわけ次の2つは新鮮な発見であった。
まず、「弁証法」の基本プロセスにおいては難しい理論というよりは、人間が自己形成を行うために社会一般に使われている「思考プロセス」を改めて整理したようなもの(あるいはベストプラクティスとして提唱したもの)ではないかと思った。実際、我々が仕事上で何かアイデアをカタチにする場合、ヘーゲル「弁証法」の3つの段階を意識しなくても日常的に使用していることに気づく。
次に、「守・破・離」のプロセスに似ているなあ、と直感的に思った。「守・破・離」とは、不白流茶道開祖の川上不白(江戸時代中期・後期の茶匠)が記した『不白筆記』(一七九四年)に見られ、茶道の修行段階を教えたものであるといわれる。僕は昔から非常にこの言葉が好きで、社内でも古いスタッフは知っている通り、「人の成長は守・破・離」だと言い放ってきたし、現在でもこの精神を前提にスタッフの育成を行っている。(弁証法と「守・破・離」の関係性については、もう少し研究する機会があれば、いつか解説を試みたい)

いずれにしても、ヘーゲルの「弁証法」。身近なものとなって良かったし、西洋の概念と東洋の概念、突き詰めれば本質は同じかも・・・などと想像してみたり、楽しい読後感であった。

Menu

創業者の独り言
バックナンバー

プライバシー&サイトポリシーCopyright (c) 2011 Mitsue-Links Co.,Ltd. All Rights Reserved.

Web制作、ホームページ作成、Flash制作:Webサイト構築、Webサイト運用:ブロードバンドコンテンツ(音声制作、動画制作):システム開発、Webマーケティング、Webブランディング、Webコンサルティング・・>のWeb Integrationならミツエーリンクスにお任せください。